伝統工芸の常識を破る表現者・田村有紀|尾張七宝7代目が描く革新と音楽の未来
Explore key developments on 伝統工芸の常識を破る表現者・田村有紀|尾張七宝7代目が描く革新と音楽の未来 in this special report.
高校卒業後、田村は武蔵野美術大学へと進学した。伝統工芸の枠組みに捉われることなく、造形美術や色彩表現、グラフィックデザインなどの幅広い美術的アプローチを体系的に学ぶためだ。この美大での日々が、現在の彼女の作品作りに決定的な影響を与えている。
大学卒業後、実家である田村七宝工芸に正式に入社。職人としての修業が始まった。職人の世界は厳しい。長年の勘と身体感覚がものを言う世界で、釉薬の調合や焼き付けの時間管理など、微細な誤差が完成度を左右する。美大で培った「客観的な視点とデザイン思考」を、職人特有の「手作業の熟練」と融合させる作業が繰り返された。
既存の七宝焼は、壺や額装飾といった鑑賞用の高級美術品が主流だった。しかし彼女は、日常の中で身につけられるアクセサリーや小物へと軸足をシフトさせていく。美大仕込みの洗練されたカラーパレットと幾何学模様を取り入れた作品群は、従来の七宝焼ファンだけでなく、若い世代や感度の高い層からの注目を即座に集めた。