田村文宏の陶芸世界|古陶磁の風情と現代生活を紡ぐ「用の美」の真実
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大航海時代以前から海上シルクロードを通じて交易されていた東南アジアの古陶磁は、大らかな文様と素朴な素地が大きな特徴だ。田村文宏の作品に見られる「かすれ」や「滲み」、どこか大らかな歪みは、こうした古典への深い敬意から生み出されている。
洗練されすぎた近代工業製品へのアンチテーゼとも言える彼の作風。完璧な真円や均一な釉薬の塗りではなく、焼き締まった土の粗さや、筆圧の強弱が残る鉄絵の表情を敢えてそのまま作品に残す。それは古の東南アジアの窯から吐き出された器が持っていた、力強くも優しい生命力を現代に蘇らせる作業に他ならない。