画面越しの世界を色彩に変える画家・辰巳菜穂の全貌|「Street View Journey」が捉える記憶と空間
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辰巳菜穂のアートワークを読み解く上で欠かせないのが、彼女のバックグラウンドだ。福島県郡山市で育ち、筑波大学芸術専門学群にて建築デザインを専攻した。この「建築」という幾何学的かつ客観的な空間の捉え方が、後の絵画制作における揺るぎない骨格となっている。
空間の奥行きやパースペクティブ、構造物の配置に対する冴えた視線。それらはすべて、建築的思考の賜物だ。卒業後、彼女は直感的な絵画表現へと舵を切る。空間を設計する側から、すでに存在する空間の歪みや叙情を視覚的に抽出する表現者へと変化したのだ。
横浜市に拠点を移してから、そのスタイルは一気に開花する。巨大な都市の港風、整然とした街並みと歴史的建造物が混在する環境は、彼女の美意識に多大な影響を与えた。実体験としての都市と、デジタル上の都市。二つの領域を行き来する感性が磨かれていった。